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2025年9月5日
連日続く猛暑に、体も心もぐったりしてしまいますね。皆さま、体調を崩されてはいませんか?
ここ最近、当院には「歯が欠けた」「歯が折れた」「被せ物が取れた」など、歯のトラブルで来院される方が例年になく多く見られます。
そのなかには、特に硬いものを食べたわけでも、転んだりぶつけたりしたわけでもないのに、「朝起きたら歯に違和感がある」「歯がピキッと割れていた」というようなケースも増えています。
実はこれ、“夏特有のストレス”や“体の反応”が原因で起こる「無意識の食いしばり」が大きく関係していると考えられます。
「食いしばり」と聞くと、スポーツの試合中や緊張しているときにぎゅっと歯を食いしばるような場面を思い浮かべる方が多いかもしれません。
ですが実際には、夜寝ている間や日常生活のなかで、無意識に上下の歯を強く噛みしめている方がとても多くいらっしゃいます。この無意識の食いしばりは、「歯ぎしり」と違って音が出ないため、気づかれにくいのが特徴です。
ご本人が「自分はやっていない」と思っていても、歯のすり減り具合や顎の筋肉の緊張状態から、歯科医師が見ればすぐにわかることも少なくありません。
では、なぜ夏にこのような食いしばりが増えるのでしょうか?その理由のひとつは、「暑さによるストレス」です。猛暑の日が続くと、睡眠の質が下がったり、体にだるさが残ったり、ちょっとしたことでイライラしやすくなったりしますよね。
こうした心身のストレスは、知らず知らずのうちに「食いしばり」という形で表れてしまうのです。さらに、熱帯夜などで浅い眠りが続くと、レム睡眠(脳が比較的活発な睡眠状態)の割合が増え、歯ぎしりや食いしばりが起こりやすくなるとも言われています。
通常、私たちは食事のときに上下の歯を使って物を噛みますが、食いしばりでは食事と無関係な強い力が、長時間にわたって加わります。ときには、自分の体重と同じくらい、またはそれ以上の圧力がかかることもあるといわれています。
この過剰な力が繰り返されると、歯にヒビが入ったり、詰め物の下の歯質が割れて外れたり、時には歯が根元から折れてしまうこともあります。特に神経を抜いた歯や、長年使ってきた被せ物のある歯は、構造的に弱くなっているため、こうしたダメージに耐えられず破折しやすくなります。
実際に当院でも、「朝起きたら歯がズキズキ痛い」「冷たいものがしみるようになった」「何もしていないのに詰め物が取れていた」といった症状を訴える方が増えています。診察してみると、多くのケースで“食いしばり”が背景にあると考えられる歯の亀裂や損傷が見つかります。
では、どうすればこの「無意識の食いしばり」を防げるのでしょうか。以下のような方法が有効です。
ぬるめのお風呂にゆっくり入る、ストレッチをする、スマホを見ずに読書するなど、睡眠の質を高める工夫をしてみましょう。
ふとした時に「今、上下の歯が接触しているかな?」と気づくことが大切です。
基本的に、上下の歯は軽く離れている状態が正常です。
食いしばりや歯ぎしりが疑われる場合、歯科で自分専用のマウスピース(ナイトガード)を作成し、就寝時に装着することで、歯へのダメージを防ぐことができます。
歯が欠けたり折れたりしたとき、そのまま放置すると中の神経が炎症を起こしたり、さらに大きな破折につながってしまう可能性もあります。
「ちょっとだけだから」と様子を見るのではなく、異変を感じたら早めに歯科医院を受診されることをおすすめします。心も体も無理をしすぎず、「歯にも優しい夏の過ごし方」を意識していただけたらと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。当院では、歯の破折や詰め物の不具合など急な症状にも対応しておりますので、気になることがありましたらいつでもご相談くださいね。
皆さまが元気にこの夏を乗り越えられますように。
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