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2025年10月22日
こんにちは。高松市香西本町の歯医者「浮田歯科医院」です。
歯を失う原因として最も多いのが歯周病であることをご存じでしょうか。
歯周病は、初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行することが多い疾患です。実際に、成人の約8割が何らかの歯周トラブルを抱えているとも言われており、決して他人事ではありません。
特に、歯周病の初期症状を見逃さないことは、健康な歯を維持するうえで非常に重要です。
今回は、歯周病の初期段階で見られる症状、放置した場合のリスク、そして予防のためのポイントについて詳しく解説します。
歯周病は、歯と歯茎の間にたまったプラーク(歯垢)に含まれる細菌によって引き起こされる感染症です。
歯周病は、主に歯肉炎と歯周炎に分類されます。歯肉炎は歯茎のみに炎症が起きている状態で、歯周炎へと進行すると歯を支える骨が破壊され、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。
この病気の厄介な点は、進行が非常にゆっくりで、かつ初期段階では痛みなどの症状がほとんどないため、気づいたときにはかなり進行しているケースが多いことです。
また、歯周病は口腔内だけでなく、糖尿病や心疾患など全身の健康にも影響を与えることがわかってきており、医科と歯科の連携が注目されています。
歯周病は、気づかないうちに進行することが多い病気ですが、実は初期の段階でもいくつかのサインが現れています。そうした小さな変化を見逃さず、早めに対処することが、歯の健康を守るためにはとても大切です。
ここでは、歯周病の初期によく見られる症状をご紹介します。
歯周病のもっともわかりやすい初期症状のひとつが、歯磨きをした際に歯茎から血が出ることです。健康な歯茎であれば、適切な力で歯を磨いても出血することはほとんどありません。
出血は、歯茎に炎症が起こっているサインであり、歯周病のはじまりを知らせてくれる重要な兆候です。軽く見過ごしてしまいがちですが、こうした出血が繰り返されるようであれば、すぐに歯科医院で診てもらうことが重要です。
歯茎が健康な状態であれば、引き締まってピンク色をしています。
しかし、歯周病が進行し始めると、歯茎が赤く腫れてぶよぶよとした感触になります。炎症によって血流が増え、歯茎の色が変わることもあります。見た目での変化が現れやすいため、鏡を見て確認することで気づけることもあります。
痛みがないからといって放置せず、早めに対応することが大切です。
歯周病の初期段階では、自覚しにくい症状が多いなかで、口臭の変化は気づきやすいサインのひとつです。
歯周病によって歯茎に炎症が起こると、歯と歯茎の隙間に細菌が増殖し、ガスを発生させます。これが原因で、独特の不快な臭いが口の中に広がります。通常の歯磨きやうがいでは解消されにくく、慢性的に口臭が続くのが特徴です。
本人が気づかないこともあるため、家族や周囲の人からの指摘をきっかけに歯科医院を受診するケースも少なくありません。こうした口臭の背後には、歯周病が潜んでいる可能性があるため、早めの対応が重要です。
歯茎がなんとなくムズムズしたり、かゆみを感じたりすることも歯周病の初期症状のひとつです。これは炎症によって神経が刺激されている可能性があり、歯茎の異常な感覚は見逃せないサインです。
歯ブラシでかいたり触ったりすると一時的に落ち着くことがありますが、根本的な解決にはなりません。歯茎に違和感が続く場合は、歯科医師の診察を受けるようにしましょう。
歯周病を初期の段階で見つけられなかった場合、さまざまな深刻な問題を引き起こすリスクがあります。以下にその具体的なリスクを解説します。
歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされ、最終的には歯がぐらついて抜け落ちることがあります。
実際、日本における歯の喪失原因の第一位は虫歯ではなく歯周病であるというデータもあります。特に中高年以降で多く見られ、年齢とともにリスクが高まることも特徴です。
一度失われた歯槽骨は自然に再生することが難しいため、予防と早期治療が極めて重要です。
近年の研究では、歯周病が全身の健康にも悪影響を与えることが明らかになってきました。
特に、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、誤嚥性肺炎などとの関連が指摘されています。また、妊娠中の女性では、早産や低体重児出産のリスクも高まるため、妊婦健診でも歯科チェックが推奨されています。
歯周病が進行して歯が抜けたり、口臭が強くなったりすることで、食事の楽しみや人とのコミュニケーションに支障をきたすことがあります。これにより、精神的ストレスや社会的孤立につながる可能性も否定できません。
特に高齢者にとっては、食べ物をしっかり噛めないことが栄養不足や認知症のリスクとも関連しているとされ、日常生活全体に大きな影響を与えることがあります。
歯周病を予防するためには、日々のセルフケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスが不可欠です。以下に具体的な予防方法をご紹介します。
歯周病を予防するうえで、もっとも基本かつ重要なのが日々の歯磨きです。
しかし、自己流の磨き方では汚れがきちんと落とせていないことも多く、知らず知らずのうちに歯周病が進行してしまう可能性があります。
特に意識したいのは、歯と歯茎の境目(歯周ポケット付近)にたまるプラークの除去です。歯ブラシを歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みにやさしく動かすことで、効果的にプラークを除去することができます。
また、強くこすりすぎると歯茎を傷つける可能性があるため、力加減にも注意が必要です。毎日2回、3分以上を目安に、丁寧なブラッシングを習慣にしましょう。歯磨きに自信がない場合は、歯科医院でブラッシング指導を受けることが推奨されます。
歯ブラシだけで、すべての汚れを落とすことはできません。特に歯と歯の間には汚れが残りやすく、歯周病の原因となる細菌が繁殖しやすい環境が生まれてしまいます。
そこで使用が推奨されるのが、デンタルフロスや歯間ブラシです。デンタルフロスは歯と歯が密接している部分の汚れを落とす際に、歯間ブラシは歯と歯の間の隙間が広い箇所に使用します。
これらを使い分けることで、歯と歯の間や歯と歯茎の境目の清掃がより丁寧に行えます。
初めは面倒に感じるかもしれませんが、習慣化すれば短時間で終えられるようになります。歯周病予防をより確実なものにするためにも、こうした補助清掃用具を日常的に取り入れていきましょう。
歯周病は、自覚症状がほとんどないまま進行することが多いため、早期発見・早期対策がとても重要です。そのためには、定期的に歯科医院を受診し、専門的なチェックを受けることが欠かせません。
定期的に歯科医院を受診していれば、万が一、歯周病になっていても早期発見・早期治療が可能になります。また、普段の歯磨きでは落としきれない汚れを除去するプロフェッショナルクリーニング(PMTC)も受けられるため、歯周病の予防に効果的です。
3〜6か月に1回を目安に通院することで、口腔内を健康な状態に保ちやすくなります。
歯周病は、知らないうちに進行することが多く、気づいたときにはすでに症状が深刻になっているケースも少なくありません。
ですが、日々のちょっとしたサインに気づくことで、早い段階で対処することが可能です。
初期症状を見逃さず、適切なケアを習慣にすることが、将来の歯の健康を守ることにつながります。そして、セルフケアだけでなく、定期的に歯科医院を受診し、プロの目でお口の状態をチェックしてもらうことも欠かせません。
大切なのは、何も問題がないうちに予防を始めることです。今できることから、少しずつ始めてみましょう。
歯周病の症状にお悩みの方は、高松市香西本町の歯医者「浮田歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院では虫歯や歯周病がなくなるような歯科医療を目指しており、治療のためでなく治療しなくてすむために、歯科医院に通っていただきたいと思います。