浮田歯科医院
浮田歯科医院

Blog

ブログ

カスタマーハラスメントへの当院の考え方と診療体制変更のお知らせ

2026年8月20日

近年、医療機関においてもカスタマーハラスメントへの対応が重要な課題となっています。

当院では患者さんとスタッフの双方が安心できる環境を守るため、診療体制の一部を変更することといたしました。今回はその背景と当院の考え方についてお伝えします。

いつも浮田歯科医院をご利用いただきありがとうございます。

当院では、「患者さんのお口の健康を守ること」と同時に、「スタッフが安心して働ける環境を守ること」の両方を大切にしています。

近年、医療機関においてもカスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題として取り上げられるようになりました。患者さんやご家族からのご意見、ご要望、ご質問は医療の質を向上させるために大切なものです。

しかし一方で、過度な要求や威圧的な言動によってスタッフが精神的苦痛を受けたり、診療業務に支障を来したりするケースも増えています。

今回は、当院が考えるカスタマーハラスメントについてお伝えするとともに、今後の診療体制の変更についてご説明いたします。

歯科医療は「希望する治療を提供するサービス」ではありません

歯科医院は患者さんのご希望を伺う場所であると同時に、歯科医師が専門的な知識と経験に基づいて診断し、最善と考えられる治療方針をご提案する場所でもあります。

患者さんのご希望を尊重することは大切ですが、医学的に不可能な治療や、予後が著しく悪いと判断される治療を行うことはできません。

私は歯科医師として、自分の診断に反する治療や、自分が責任を持てない治療は行わないという考えで診療を続けています。

これは患者さんのためでもあり、医療者としての責任でもあります。

実際にあった事例①

前歯が折れたため来院された患者さんに対し、応急処置として仮歯を装着しました。

しかし後日、

「仮歯が下手だから出血する」

とスタッフに強い口調で訴えられ、診療チェアのテーブルにマスクを叩きつける行為もありました。

担当スタッフは恐怖を感じ、泣きながら院長室へ助けを求めに来ました。

診査の結果、その患者さんはPCRが86%と非常に高く、歯肉出血は仮歯周囲だけでなく全顎的に認められていました。

もちろん患者さんの不安や不満を伺うことは大切です。しかし、恐怖を与える言動や威圧的な態度は、スタッフの心身に大きな負担を与えます。

実際にあった事例②

他院で抜歯が必要と言われた歯について相談に来られた患者さんがおられました。

診査の結果、当院でも歯根破折を認めたため、抜歯が必要であると初診時に私から説明しました。

後日、TC(トリートメントコーディネーター)が治療計画の概要をご説明した際、

「事務に聞きたいんじゃない。歯科医師から説明してほしい」

と強い口調で責められました。

TCは恐怖を感じ、診療中の私のところへ報告に来ました。

私は診療を中断し、改めて説明しましたが、患者さんは

「保険外でもいいから治してほしい」

と希望されました。

しかし歯根が破折している歯は治療による保存が困難です。

私は、歯科医師として責任を持てない治療は行えないこと、また歯根破折が認められる歯については保存が困難であることを再度ご説明しました。

当院のTCは単なる受付スタッフではありません。患者さんが治療内容を理解しやすいよう、歯科医師と十分に打ち合わせを行ったうえで説明を担当しています。

それにもかかわらず、威圧的な言動によって説明担当者が萎縮してしまうことは、医療提供体制そのものに影響を及ぼします。

実際にあった事例③

重度の根尖性歯周炎と歯根破折が疑われる歯について、私は抜歯が妥当と判断した患者さんがおられました。

しかし患者さんは保存を強く希望されました。

私は自分の診断に反する治療は行わないため、保存治療を試みたいという勤務医に担当を引き継ぎました。

一時的に症状は改善し、被せ物まで装着できましたが、約8か月後に再び痛みと腫れが発生し、結果として抜歯となりました。

その後の補綴治療については、2026年6月の診療報酬改定直前であり、事前承認ブリッジの取り扱いについて保険者への確認が必要な時期でした。

そのため受付スタッフから、

「確認が取れ次第ご連絡しますので、本日は一旦お帰りください」

と説明しました。

しかし患者さんから、これまで装着されていた補綴物の2年間維持管理に関する説明が不十分であるとのご指摘があり、同じ内容について繰り返し説明を求められました。

保険者への確認が終わらなければ正確な回答ができないことを説明し、一旦お帰りいただくようお願いしましたが、ご理解いただけず、スタッフの昼休憩時間を大幅に超える対応が続きました。

さらに後日、ご家族から説明を求められたため、当院から診療終了後に電話を差し上げました。

本来は20分程度のお時間をいただく予定でしたが、同様の説明や質疑応答が繰り返され、結果として1時間を超える対応となりました。

患者さんやご家族が疑問や不安を持たれることは当然です。

しかし、同じ内容の説明を繰り返し求められたり、長時間スタッフや歯科医師を拘束されたりすると、その時間は他の患者さんの診療や予約対応に充てることができなくなります。

限られた時間と人員の中で診療を行う医療機関にとって、こうした行為は診療体制全体に大きな影響を及ぼします。

当院が考えるカスタマーハラスメント

当院では次のような行為をカスタマーハラスメントに該当する可能性があるものと考えています。

これらの行為が継続し、診療の継続が困難と判断した場合には、患者さんとスタッフ双方の安全を守るため、診療をお断りすることがあります。

TCによる治療説明一時停止について

当院ではこれまで、TCが患者さんへ治療計画説明を行ってきました。

しかし、そのためには診療時間外に歯科医師とTCが打ち合わせを行い、説明内容を確認する時間が必要です。

また近年、一部の患者さんから説明担当スタッフへの威圧的な言動や長時間の説明要求があり、スタッフの精神的負担も大きくなっています。

さらに現在、歯科医療業界全体で人材不足が深刻化しており、当院も例外ではありません。

そこで当面の間、TCによる治療計画説明を一時停止し、治療方針や治療計画の説明は院長である私が直接行うことといたしました。

その結果、説明時間を診療枠の中で確保する必要が生じるため、これまで以上に治療予約が取りづらくなることが予想されます。

患者さんにはご不便をおかけいたしますが、限られた人員の中で安全で質の高い医療を継続し、スタッフが安心して働ける環境を守るための取り組みです。

最後に

私たちは患者さんを大切に思っています。

当院は今後も、患者さんの不安や疑問に真摯に向き合い、十分な説明と納得のうえで治療を進める姿勢に変わりはありません。

診療体制は変更となりますが、より安全で質の高い医療の提供に努めてまいります。

だからこそ、一人ひとりの患者さんに丁寧な診療を提供したいと考えています。

しかしそのためには、スタッフが安心して働ける環境が必要です。

患者さんとスタッフがお互いを尊重し、信頼関係のもとで診療を行える医院であり続けるために、今後も必要な取り組みを進めてまいります。

皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

«

お問い合わせは、下記までお気軽にどうぞ
診療時間
月火水金土 9:00〜13:00/14:00〜18:00
木・日・祝 休診

※祝日ある週については木曜営業