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2026年10月15日
こんにちは。浮田歯科医院です。
9月の院内研修では、受付スタッフと歯科衛生士全員で、子どもの「口腔機能発達不全症」について動画を視聴し、学びました。さらに、学んだ内容を日々の診療につなげるため、保険診療で患者さんに提供する際の院内の流れも確認しました。
歯科医院というと、むし歯の治療や歯並びの相談をする場所という印象が強いかもしれません。しかし、子どものお口の健康を考えるときには、歯の形や本数だけでなく、「噛む」「飲み込む」「話す」といった働きにも目を向けることが大切です。今回は、研修で学んだ子どものお口の機能と、歯並びとの関係についてお伝えします。
子どもは成長とともに、食べ物を噛んだり、飲み込んだり、言葉を話したりする力を身につけていきます。これらを支えるのは、歯や顎だけではありません。舌、唇、頬などの筋肉が協調して動くことで、お口のさまざまな働きが成り立っています。
「口腔機能発達不全症」とは、明らかな摂食機能障害の原因となる病気などがないにもかかわらず、食べる、話すなどの機能が十分に発達していない、あるいは適切に身についていない状態をいいます。
ただし、お口の発達には個人差があります。食べ方や発音について気になることがあっても、それだけで病気と決まるわけではありません。年齢や発育段階、歯の生え替わり、日常の様子などを確認し、その子に合った支援が必要かどうかを歯科医院で判断します。
お子さんがテレビを見ているときや遊んでいるとき、唇が開いたままになっていませんか。食事中に食べ物がよくこぼれる、噛まずに飲み込むように見える、食べるのにとても時間がかかる、発音が気になるといった様子も、相談のきっかけになります。
指しゃぶりや、舌を前に出す癖など、お口に関係する習慣を「口腔習癖」と呼びます。こうした癖についても、続いている期間や頻度、年齢、お口への影響を確認することが大切です。小さい頃にみられる習慣を、すべて問題として扱う必要はありません。
保護者の方には、「いつ、どんなときに気になるか」を教えていただけると助かります。診療室では緊張して、普段と違う様子になるお子さんもいます。家庭での食事や遊びの様子は、お口の働きを知るための大切な情報です。
なお、鼻づまりなどで鼻呼吸が難しい場合は、お口を閉じるよう声をかけるだけでは解決しません。必要に応じて耳鼻咽喉科などと連携し、原因に合った対応を考えます。
歯並びには、顎の大きさや成長、歯の大きさ、遺伝的な要因など、さまざまなことが関係します。それに加えて、舌の位置や動き、唇や頬の筋肉の働き、口腔習癖も、歯並びや噛み合わせに影響することがあります。
歯は、お口の内側にある舌と、外側にある唇や頬に囲まれています。普段どこに舌があるか、飲み込むときにどのように動くか、唇を自然に閉じられるかといったことも、お口の環境を考えるうえで大切です。
そのため、歯並びの見た目だけを確認するのではなく、食べるときや話すときのお口の使い方まで見ていく必要があります。お口の「形」と「働き」の両方を考えることが、成長期の歯科診療では欠かせません。
矯正治療で歯並びを整えても、舌を歯に押しつける癖などが残っていると、整えた歯並びに影響する場合があります。矯正治療を検討する段階から、口腔習癖や口腔周囲筋の働きを確認し、必要な場合には改善を図ることが大切です。
また、矯正治療が終わった後も、お口の使い方を見直し、身につけた機能を維持していくことが重要です。ただし、矯正後の「後戻り」は、口腔習癖だけが原因で起こるものではありません。歯の周囲の組織の変化や成長なども関係しますので、お口のトレーニングだけで防げるとはいえません。
矯正を担当する歯科医師の指示に従って、リテーナーなどの保定装置を使用し、定期的な確認を受けることも必要です。口腔機能への支援と、矯正後の保定を、それぞれの目的に合わせて続けていきましょう。
口腔機能発達不全症に対する評価や管理、必要な指導・訓練は、保険診療の対象となっています。診察で状態を確認し、診断や算定の条件を満たす場合に、健康保険を利用して支援を受けることができます。
自費診療だけでなく、保険診療として取り組めることは、継続して通院するうえで費用の負担を抑えやすいという利点があります。実際の窓口負担は、保険の自己負担割合や自治体の子ども医療費助成制度などによって異なります。
ここで知っていただきたいのは、口腔機能発達不全症の治療は、「食べる」「話す」などの基本的な機能を育てることが目的だという点です。この診断によって、歯並びを動かす矯正装置の治療まで保険適用になるわけではありません。機能への支援と矯正治療については、内容や費用を分けてご説明することが大切だと考えています。
今回の研修では、病気の知識だけでなく、保護者の方からの相談をどのように受け、診察や評価につなげ、説明や継続的な支援へ進めていくかという院内の流れを学びました。
受付スタッフも一緒に学んだのは、最初の相談の窓口になることが多いためです。「むし歯ではないけれど、食べ方が気になる」「お口がいつも開いている」といったお話も、診療につながる大切な相談です。スタッフが共通の理解を持つことで、気になることを話していただきやすい医院にしていきたいと考えています。
歯科医師と歯科衛生士が状態を確認し、お子さんの年齢や理解度に合わせて、ご家庭で取り組める方法を考えていきます。必要な支援は一人ひとり異なるため、同じ練習を全員に行うのではなく、その子のお口の状態に合わせることが大切です。
お口の機能を育てるには、診療室での取り組みと、毎日の生活の中での積み重ねが大切です。一方で、保護者の方が一人で原因を考え、練習方法を決める必要はありません。無理に硬い物を食べさせたり、お口を閉じるよう繰り返し注意したりする前に、まずはご相談ください。
お子さんを責めず、できたことを認めながら、無理なく続けられる方法を一緒に考えていきたいと思います。浮田歯科医院では、むし歯予防や歯みがき指導に加えて、お口の機能にも目を向け、子どもたちの成長を支えていきます。
歯並びや噛み合わせ、食べ方、発音、お口の癖について気になることがありましたら、定期検診の際や受付でお声がけください。
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