浮田歯科医院
浮田歯科医院

Blog

ブログ

90歳で26本のご自身の歯。人生100年時代の「口福」を守るために

2026年8月13日

当院には、90歳で26本のご自身の歯を保たれているAさんがいらっしゃいます。

Aさんは26年間にわたり定期的な口腔ケアに通ってくださっています。つい最近までフラダンスのサークルに所属し、お仲間と一緒に施設へのボランティア慰問も続けておられました。

90歳になっても仲間と交流し、好きなことを楽しみ、美味しく食事ができる。その姿を見るたびに、私たちは「歯を守ることは人生を守ることなのだ」と実感します。

歯を守ることは人生の質を守ること

歯は単に食べ物を噛むためだけのものではありません。

しっかり噛めることで栄養を摂ることができ、会話を楽しみ、外出し、人との交流を続けることができます。

反対に歯を失うと、食べられるものが制限され、食事量が減り、筋力や体力の低下につながることがあります。

高齢になるほど「口から食べられること」の価値は大きくなります。

好きなものを食べる。

家族と同じ食事を楽しむ。

友人と外食する。

こうした何気ない日常が人生の喜びにつながっています。

私たちはこれを「口福(こうふく)」と考えています。

80歳で20本はゴールではなく通過点

「8020運動」という言葉をご存じの方も多いと思います。

80歳で20本以上の歯を残そうという取り組みです。

20本の歯が残っていれば、多くの食品を自分の歯で噛むことができると言われています。

しかし人生100年時代となった今、80歳は決して人生の終盤ではありません。

80歳で20本残すことはゴールではなく、その先の90歳、100歳まで自分の口で食べるための通過点だと私たちは考えています。

Aさんが90歳で26本の歯を保っておられることは、その一つの理想的な姿です。

70歳くらいまではPCR20%を目標に

では、80歳で20本の歯を残すためには何が必要なのでしょうか。

その答えの一つがプラークコントロールです。

当院では特に70歳くらいまではPCR(プラークコントロールレコード)20%以下を目標にすることが望ましいと考えています。

歯周病は細菌による慢性疾患です。

歯周病が進行すると歯を支える骨が失われ、最終的には歯を失う原因になります。

どれほど良い治療を行っても、毎日のプラークコントロールができていなければ長期的な安定は望めません。

そのため当院では、単に歯石を取るだけではなく、歯科衛生士による丁寧なTBI(ブラッシング指導)を大切にしています。

患者さん一人ひとりのお口の状態や磨き癖に合わせて、できるだけわかりやすくお伝えすることを心がけています。

理想的な予防管理が難しい方もいます

しかし現実には、すべての患者さんが予防に積極的というわけではありません。

「掃除だけしてほしい」

「歯磨きの話は聞きたくない」

「何度も同じことを言われたくない」

そう感じられる方もいらっしゃいます。

また、年齢とともに手先の機能や視力が低下し、以前と同じようなセルフケアが難しくなることもあります。

私たちはできる限り丁寧な説明を続けますが、最終的には患者さんご自身の考え方や価値観も尊重しなければなりません。

医療は患者さんと医療スタッフが協力して進めるものです。

そのため説明や指導に対して強い拒否や暴言が繰り返される場合には、理想的な予防管理の継続が難しくなることもあります。

妥協的メンテナンスも大切な医療

そのような場合でも、私たちは患者さんを見放すことはありません。

理想的な予防管理が難しい場合には、

「今できる範囲で歯を守る」

という考え方に切り替えます。

これを当院では「妥協的メンテナンス」と考えています。

定期的なクリーニングや歯周病の進行確認を継続しながら、できるだけ歯を失うスピードを遅らせることを目指します。

また、高齢になるにつれてPCRが高くなってくる方も少なくありません。

そのような場合には、3か月ごとの管理から1か月ごとの管理へ変更し、より頻繁な口腔ケアを行うことで進行を遅らせるお手伝いをしています。

これは決して諦めではありません。

患者さんの人生に寄り添う現実的な医療だと考えています。

80歳を超えたらオーラルフレイル対策が重要

さらに高齢になると、歯だけではなくお口の機能全体を守ることが重要になります。

最近注目されているのが「オーラルフレイル」です。

噛む力、飲み込む力、話す力などが少しずつ低下していく状態を指します。

最初は小さな変化でも、そのまま放置すると低栄養や筋力低下、さらには要介護状態へつながることがあります。

特に重要なのが飲み込む力です。

飲み込みが悪くなると、

などの問題が起こります。

人生100年時代において、最後まで口から食べるためには、歯だけでなく飲み込む機能を守ることも欠かせません。

口腔機能低下症への取り組み

現在の保険診療では、口腔機能低下症の検査や機能訓練が重視されるようになっています。

当院でも、

などを確認し、必要な方には機能訓練や生活指導を行っています。

歯を守ること。

噛む力を守ること。

飲み込む力を守ること。

これらはすべて「一生自分の口で食べる」という目標につながっています。

浮田歯科医院が目指していること

私たちが目指しているのは、単に虫歯や歯周病を治療する歯科医院ではありません。

患者さんが80歳になっても、90歳になっても、そして100歳になっても、自分の口で食事を楽しみ、会話を楽しみ、その人らしい人生を送るお手伝いをすることです。

Aさんが90歳で26本の歯を保ち、好きなフラダンスを楽しみ、人との交流を続けておられる姿は、まさにその理想を体現してくださっています。

80歳で20本の歯を残すこと。

そしてその先も食べる力を守り続けること。

私たちはこれからも、患者さん一人ひとりの「口福」を支えるために、歯を守り、噛む力を守り、飲み込む力を守る取り組みを続けてまいります。

人生100年時代。最後までご自身の口で美味しく食べるために。

それが浮田歯科医院の願いです。「私たちは治療をするだけでなく、10年後、20年後、30年後の患者さんの口福を守る歯科医院でありたいと思っています。」

«

お問い合わせは、下記までお気軽にどうぞ
診療時間
月火水金土 9:00〜13:00/14:00〜18:00
木・日・祝 休診

※祝日ある週については木曜営業