浮田歯科医院
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完全予約制の歯科医院と、急患対応について思うこと

2026年9月24日

当院は完全予約制で診療を行っています。

「完全予約制」というと、患者さんをお待たせしないための仕組みと思われるかもしれません。

もちろんそれも大切な目的ですが、私たちが予約時間を大切にしている一番の理由は、それぞれの患者さんに必要な診療時間を確保し、安全で丁寧な治療を行うためです。

最近、あらためて「予約時間を守ること」と「困っている患者さんにできるだけ親切にすること」の両方について考える出来事がありました。

転倒して前歯を損傷された患者さん

先日、ご高齢の患者さんがご家族と一緒に、予約なしで当院を受診されました。

転倒して前歯を強く打ち、歯を損傷されたとのことでした。

患者さんもご家族も、さぞ心配されていたことと思います。

しかし、あいにくその日は朝から予約がいっぱいでした。

スタッフと相談して予約を調整してみましたが、何とか確保できそうなのは30分程度でした。

その時間であれば、お口の中を診察してレントゲン撮影を行い、歯や歯根、周囲の骨などの状態を確認して診断し、必要であれば投薬するところまではできそうでした。

ただ、その日のうちに十分な時間をかけて治療まで行うことは難しい状況でした。

そのことをご家族に正直にお伝えしたところ、「それなら、すぐに治療してもらえる別の歯科医院を探してみます」とのことで、他院を探されることになりました。

予約の患者さんとの約束も大切です

歯の痛みや腫れ、転倒による外傷は突然起こります。

ですから、「今日診てもらいたい」というお気持ちはよく分かります。

一方で、すでに予約して来院してくださっている患者さんも、同じように大切な患者さんです。

歯科治療では、小さなむし歯の治療、根管治療、歯周病治療、外科処置、被せ物の治療など、それぞれ必要な時間が違います。

私たちは予約をお取りするとき、予定している治療内容を考えて、その患者さんのために必要な時間を確保しています。

急患の方を診るために、予約されている患者さんの治療を急いだり、予定していた処置を省略したりすることはできません。

また、急患の方を優先することで、時間どおりに来院してくださった患者さんを長時間お待たせすることも、できるだけ避けなければならないと思っています。

予約を守って来院してくださった方との約束を守ることも、医療機関としての責任だからです。

予定していなかった治療をご希望されることもあります

そして実は、診療時間が遅れる理由は急患だけではありません。

今日もこんなことがありました。

予約されていた治療そのものは予定どおりの時間に終了しました。

ところが治療が終わったところで、患者さんから義歯について別のご相談があり、そのまま対応しているうちに診療時間が延びてしまいました。

気がつけば、次に予約されていた患者さんを30分以上お待たせする状況になっていました。

ご相談された患者さんのお気持ちも分かります。

せっかく歯科医院に来たのだから、「これも気になっているので一緒に診てほしい」と思われるのは自然なことです。

私たちも、できることならその場で解決して差し上げたいと思います。

しかし、そのために次の患者さんを30分、さらにその次の患者さんもお待たせすることになれば、結果として多くの患者さんにご迷惑をおかけすることになります。

そのため今日は、私の方から、

「申し訳ありませんが、本日予定していた治療以外の内容については、改めてお時間を取って診察させてください」

とお願いして、そこで診療を終了せざるを得ませんでした。

「ついでにこれも」は、内容によって時間が必要です

歯科では患者さんから、

「ついでにこの歯も診てほしい」
「ここも少し削ってほしい」
「義歯も調整してほしい」
「前から気になっていたところがある」

と診療当日にご相談いただくことがあります。

もちろん、短時間で確認できることで、その後の診療に影響しない場合には、できる範囲で対応しています。

しかし、一見簡単そうに思えることでも、診査をして原因を確認し、必要に応じてレントゲンを撮影し、治療方法をご説明して処置を行うとなると、ある程度の時間が必要です。

特に義歯の調整などは、「少し削れば終わり」とは限りません。

咬み合わせや粘膜の状態、義歯の適合などを確認しながら調整する必要があります。

予定していなかった治療を次々に追加すると、その患者さんの診療時間だけでなく、その後の一日の予約すべてに影響してしまいます。

そのため当院では、予定していた治療が終了した後に別の治療をご希望された場合、その日の予約状況によっては、改めて別の日に予約をお願いすることがあります。

これは、そのご希望を軽く考えているからではありません。

むしろ、きちんと時間を確保して診察・治療するためです。

時間どおりに来てくださる患者さんを大切にしたい

歯科医院では、ときに「待たされるのは仕方がない」と思われていることがあります。

しかし私は、できるだけそうしたくありません。

仕事の途中で来院される方もいらっしゃいます。

診療後に予定がある方、家族の介護やお子さんのお迎えがある方もいらっしゃるでしょう。

皆さん、それぞれの生活の中で時間を作り、予約時間に合わせて来院してくださっています。

その患者さんを30分待たせてしまうということは、その方の30分をいただいてしまうことでもあります。

もちろん医療ですから、予想外の出血や体調変化、予定より難しい治療などによって、どうしても診療が延びることはあります。

それでも、できる限り予約時間を守る努力をすることは、患者さんへの礼儀の一つではないかと思っています。

それでも「予約がないから無理です」だけにはしたくない

一方で、転倒して歯を折った方や、突然強い痛みや腫れが出た方に対して、「予約がないので診られません」の一言だけで終わらせる医院にもしたくありません。

十分な治療時間は取れなくても、

「緊急性があるか確認できないだろうか」
「レントゲンを撮って診断するところまではできないだろうか」
「応急処置や投薬だけでもできないだろうか」

と考えます。

それでも難しい場合には、そのことを正直にお伝えするしかありません。

医療では、何でも引き受けることが親切とは限らないと思います。

無理な状況で診療を引き受ければ、治療の質や安全性を損なったり、他の患者さんに大きなご迷惑をおかけしたりすることがあります。

「自分や自分の家族だったら」と考える

私は診療の中で迷ったとき、「もしこの患者さんが自分の家族だったら」と考えることがあります。

同時に、自分や自分の家族が突然病気や事故に遭い、医療機関を訪れる立場になったときのことも考えます。

すぐには診てもらえないこともあるでしょう。

それでも、

「今日はここまでならできます」
「今日は時間が取れないので、改めてきちんと時間を取って診ましょう」
「当院では難しいので、別の医療機関を受診した方がよいと思います」

と誠実に説明してもらえたら、それだけでも安心できるのではないでしょうか。

だから私たちも、できないことは正直にお伝えし、その中でできることを考える医院でありたいと思っています。

予約時間を守ることも、親切な医療の一つ

完全予約制を守ることと、困っている患者さんに親切にすることは、決して反対のことではありません。

予約してくださった患者さんのために必要な時間を確保し、できるだけ時間どおりに丁寧な治療を行うこと。

急な痛みや事故で困っている方には、その日の状況の中で何ができるかを考えること。

そして予定外の治療をご希望された場合には、無理に詰め込むのではなく、必要であれば改めて時間を確保すること。

どれも患者さんを大切にするために必要なことだと思っています。

私たちもできるだけ柔軟に対応したいと思っています。

その一方で、予約された治療とは別に気になっていることがある場合には、できましたら予約時や受付時にあらかじめお知らせいただけると大変助かります。

必要な時間をあらかじめ確保することができるからです。

できないことは正直にお伝えする。
できることには、できるだけ誠実に対応する。
そして、一人の患者さんだけでなく、その日に予約してくださっているすべての患者さんを大切にする。

これからもそんな気持ちで、日々の診療を続けていきたいと思っています。

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